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書籍の紹介 『地域における鉄道の復権 持続可能な社会への展望』

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書籍「地域における鉄道の復権」の表紙です。

『地域における鉄道の復権 持続可能な社会への展望』

宮田和保・桜井徹・武田泉 編著
緑風出版
2021年3月
A5判320ページ
3,200円+税
ISBN978-4-8461-2105-1 C0065

JR北海道の問題を中心に、JRが危機的な状況に至る経過や原因、鉄道を維持するための解決策の案などが書かれた本です。
市場原理では測定できない鉄道の経済効果や、市場で測定可能な経済価値以外を認めない新自由主義の下で公共財を維持することは不可能であること、などが説明されているところが重要だと思いました。

人口が少なくて赤字なら廃線は止むを得ない、様々なアイデアで黒字化できるなら存続の可能性もある、といった具合に、鉄道の存廃の問題を単なる企業経営の問題のように扱ったり、市場原理の枠でしか扱えないような思考に陥らないために参考になる本だと思います。
以下は出版社による紹介文です。

北海道の鉄路は全路線の半分に当たる10路線が維持困難として廃線の危機に直面している。
国鉄の「分割・民営化」から30年、JR各社では不採算路線の廃止などで、全国的な鉄道網の分断が進行している。
鉄道は安全性、定時性、高速性で高く評価され、地域社会の発展に不可欠であるのに、政府の自動車・航空偏重政策の前に危機を迎えている。
本書は、JR北海道の危機的状況にたいして、新自由主義による従来の「分割・民営化」路線の破綻を総括し、「持続可能な社会」の考え方を基本に、鉄道路線の存続・再生、地域経済・社会の再生の道を提起する。(2021.3)
(平間健嗣 北海道札幌市在住)

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